会長ご挨拶

  2022年4月1日

 

会長就任にあたって    

                                                                                               日本鉱業協会

                                                            会長 納  武士

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   この度、会員各社のご推挙により、村山会長の後を受けて、日本鉱業協会の会長に就任することとなりました三井金属の納でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

   当協会は、1948年に設立され、本年をもって75年目となります。この間、歴代会長、会員各社ならびに協会関係者のご尽力により、非鉄金属業界の振興・発展を実現してこられましたことに改めて深く敬意を表したいと存じます。また、経済産業省をはじめ、関係省庁、地方自治体、ならびに労働団体などの皆様からのご支援に対しまして、改めて心より感謝申し上げる次第でございます。

 村山前会長は、資源の安定確保のため様々な施策に取り組まれ、特に二つの件にご尽力いただきました。

 第一に、2021年度は「海外投資等損失準備金制度」と「減耗控除制度」のいわゆる鉱業2税制が6年ぶりに租税特別措置法上の適用期限を迎えておりました。経済産業省・資源エネルギー庁をはじめとして、財務省および国会議員の先生方に、資源開発に関して鉱業税制の重要性をご理解いただくことに注力され、「海投損」では2年間の延長、「減耗控除」では金属鉱物は縮減なしで3年間の延長を実現されました。

 第二に、資源ナショナリズムへの対応に取り組まれました。特に南米チリでは、2021年5月に新鉱業ロイヤリティ法案が同国国会の下院を通過しましたが、多くの日本企業が同国銅鉱山に投資していることから、本法案の行方には多大な影響があるとみられるものでした。本邦権益保護と公正な競争環境の整備の観点から、経済産業省など関係各所へ資源外交の必要性について理解を求める行動を起こされ、政府間の対話につながりました。

 このような前会長のご努力に対しまして、深く感謝申し上げますとともに、私もこれまで推進されてきた基本路線を引き継ぎながら、課題解決に向けて精一杯努力をしてまいりたいと存じます。

 さて、COVID-19-オミクロン株の拡大はピークを過ぎつつありますものの、我が国経済は、これまでの各国財政の支出拡大や金融緩和、需要の急回復によるコモディティ価格の変動の影響を大きく受けている情勢にあります。

 本年2月末に始まったロシア軍のウクライナ侵攻により、エネルギーのみならず非鉄金属相場も、一段と上昇を呈しており、改めて資源の安定供給の重要性が再認識されています。

 中・長期的には、ポストコロナ社会を見据えデジタル化が加速する中、環境面では脱炭素化や循環型社会の構築という社会の革新が求められ、そのための基礎素材としてのベースメタルの重要性は今まで以上に高まっていると考えています。

 当協会では、非鉄金属素材の安定供給のためのサプライチェーンの強化により、持続可能な社会の形成に寄与することで、我が国の発展に貢献すべく、以下の諸問題に取り組んでまいりたいと考えております。

 第一の課題は「資源の安定確保」です。

   非鉄金属は、広く日本の産業全般にて、必要不可欠な素材として用いられています。世界情勢を見通すと、いままでのデジタル覇権争いに加え、今後は国家レベルでのカーボンニュートラルを巡る競争の激化が予想される中、経済安全保障の視点が益々重要になっています。デジタルトランスフォーメーション(DX)やグリーントランスフォーメーション(GX)といったうねりを的確にとらえ、SDGsに寄与する前提のもと、金属資源の安定確保、素材の安定供給を行うことは当協会にとって最大の使命であると認識しています。

   海外鉱山に目を転じると、資源ナショナリズムの今まで以上の高まりにより、鉱物資源の獲得競争は激化している市場環境の中にあり、加えて鉱山立地の深部化・奥地化による初期投資額の増大や、昨今の労務費など変動費の増加によって、鉱山経営は今まで以上に収益上もリスクを伴う事業となっています。他方で、脱炭素社会/カーボンニュートラルへの社会的要請はより一層高まっており、その実現を支える非鉄金属の需要拡大に応えていくことも我々に課せられた使命だと考えております。

   こうした状況を踏まえ、当協会では、安定的な金属資源確保こそが現在および将来の国益にかなうとの信念のもと、長期的な視点に立ち、積極的な海外資源開発が継続できるよう、引き続き独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、国際協力銀行(JBIC)、日本貿易保険(NEXI)等の政府系機関の機能強化・拡充や、減耗控除制度・海外投資等損失準備金制度の恒久化・拡充など、政府に対して一層の支援強化を訴えてまいりたいと考えております。並行して、政府の資源外交についても、強く訴えてまいる所存です。

   こうした取組を通じ、経済産業省にて取りまとめられた「第六次エネルギー基本計画」の中で示されたような鉱物資源確保について、積極的に取り組んでまいりたいと思います。

   第二の課題は「電力問題」です。

   当業界では、非鉄金属という国際商品を扱っている以上、常に国際競争に晒されており、対外的に見劣りしない価格水準での、安定的な、電力の確保が必要不可欠となっています。足元のウクライナ情勢を考えても、経済安全保障の見地から、今まで以上に、エネルギーおよび電力の確保が必要になっていると言えると思います。

   当業界は、長年にわたり、省エネルギー活動に尽くしておりますが、FIT制度(2022年度よりFIP)の賦課金の影響は大きく、また、昨今の原油・LNG・石炭価格の上昇による燃料調整についても、間接的なコスト上昇要因となり得ます。

   国内産業の礎となる社会的使命を実現するためにも、FIT賦課金の減免措置の維持・拡充、省エネ補助金、先進的技術開発支援等の諸施策を今後とも政府に働きかけてまいります。

   加えて、ベースロード電源の確保のため、さらには、脱炭素問題における影響緩和のため、安全確保を大前提とした原子力発電所の早期の再稼働や、地熱発電拡大のための規制緩和等の支援、再生可能エネルギー供給量の拡大への取組強化についてもお願いしていく所存です。

   第三の課題は「リサイクルによる持続的な循環型社会の構築」です。

   当業界では、各企業が様々なメタルを回収する製錬設備を有しており、長年にわたって培った技術の蓄積と相まって、多様な産業で発生したスクラップを再資源化し、廃棄物の無害化に向けて取り組んでまいりました。この銅、亜鉛、鉛等の製錬所ネットワークを拡張することで、サプライチェーン中流域における中核的なリサイクル拠点として、再資源化ネットワークの中で、大きな役割を果たしていけると考えています。リサイクル調達網の国際的な拡大や不純物処理技術の活用を通じて収益力を高め、日本発信のサーキュラーエコノミー構築に尽力すべく、政府・関係機関・団体と業界各社のご協力を得つつ進めてまいります。

   また、当協会内に「カーボンニュートラル推進委員会」およびワーキンググループを設置し、「リサイクル」「省エネ」「LCA(ライフサイクルアセスメント)」の3つを優先テーマとして、検討を進めております。ここで得られた検討結果の訴求を通じて、2050年カーボンニュートラルの達成に貢献できるよう活動を進めてまいりたいと考えております。

   第四の課題は「人材確保と育成の強化」です。

   脱炭素、経済安全保障の観点から非鉄金属素材へのニーズが高まる一方で、日本では冶金・鉱山学部の改廃にともなう中堅教員層の減少、資源・製錬分野への学生の関心の低下、加えて少子化による学生そのものの減少などで、産業を牽引する人材不足が顕在化しております。これらに対して、大学への寄付講座、共同研究/研究助成などを通じた産学の一層の連携の強化、経団連、経済広報センターが主催する「企業人派遣講座」への講師派遣、科学技術館での常設展示を通じたアウトリーチ活動等を促進してまいる所存です。また、資源・素材学会を通じた研究費の助成についても、業界として引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

   こうした取組によって、複雑な社会情勢の変化に即応できる、多様性ある人材の確保・育成に努めてまいります。

   このほか、安全対策の推進、環境・保安対策の充実など非常に重要な課題であり、引き続き適切に取り組んでまいります。

   これから1年間、会員各社のご理解とご協力をいただいて、これらの諸問題に全力をあげて取り組んでまいる所存ですので、関係各位のご指導とご支援を重ねてお願い申し上げて、私の就任のご挨拶とさせていただきます。

                                                                                                                          以上

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