会長ご挨拶

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                                                                                  2021年4月1日

 

 

          会長就任にあたって


                             日本鉱業協会

                              会長 村山 誠一

 

 この度、会員各社のご推挙により、宮川会長の後を受けて、日本鉱業協会の会長に就任することとなりましたJX金属の村山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。


 当協会は、1948年に設立され、本年をもって74年目となります。この間、歴代会長、会員各社ならびに協会関係者のご尽力により、非鉄金属業界の振興・発展を実現してこられましたことに改めて深く敬意を表したいと存じます。また、経済産業省をはじめ、関係省庁、地方自治体、ならびに労働団体などの皆様からのご支援に対しまして、改めて心より感謝申し上げる次第でございます。

 

 宮川前会長は、当業界が持続的な発展を遂げるための諸施策に取り組まれました。当協会が重要な課題の一つとして掲げております資源の安定確保に関しましては、資源エネルギー庁の資源・燃料分科会、鉱業小委員会を通じて積極的な海外資源開発の継続を支援する施策を求められました。昨年6月に「独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法」、いわゆるJOGMEC法が改正され、同機構によるリスクマネー供給機能が強化されたことは、記憶に新しいところです。また、減耗控除制度および海外投資等損失準備金制度のいわゆる鉱業2税制に関して、来年3月末に租税特別措置法上の適用期限を迎えることに備えて、関係各所へ鉱業関係税制の重要性についての理解を求め、延長・拡充を強く要望されました。

 このような前会長のご努力に対しまして、深く感謝申し上げますとともに、私もこれまで推進されてきました基本路線を引き継ぎながら、課題解決に向けて精一杯努力をしてまいりたいと存じます。

 

 さて、昨年来世界中で猛威を振るっております新型コロナウイルス感染症は、世界全体の社会経済活動に甚大な影響を及ぼしました。感染された方々の早期回復と亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、日々尽力されている医療従事者の方々に対し心より感謝申し上げます。足元、国や地域によって差はあるものの、世界経済はコロナ禍を脱して徐々に回復の途につき始めているように見えます。ウィズコロナ、ポストコロナ社会に向け、新たなデジタル社会の構築等、さまざまな取り組みが本格化する中で、当業界の果たすべき役割が少なからずあるものと考えております。例えばリモートワークやリモート会議の機会が増えたことで、5Gに代表される高速通信インフラや、従来よりも便利なIT機器の必要性を実感された方も多いのではないでしょうか。ご存じの通り、それらには様々な非鉄金属素材が活用されております。

 他方で、新型コロナウイルスが国際社会や人々の生活に与えた混乱はいまだ収まらず、当業界においても非鉄金属製品の需要・供給への影響や、非鉄金属価格の急激な変動の可能性は否定できません。また、社会的にも経済的にも、先の見えづらい状況は当面続くと予想されますが、2021年度以降は、徐々に見通しが利くようになることを期待しており、当協会としましては、関係各所と緊密な連携のもと互いに協力しながら運営にあたってまいりたいと考えております。

 

 また、菅総理は昨年10月の所信表明演説の中で、「2050年カーボンニュートラル」を目指すことを宣言されました。温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、いわゆる脱炭素社会の実現は容易ではありませんが、「新たな成長戦略の柱として位置付ける」との政府方針の下で、今後、多様な分野で革新的なイノベーションが求められ、これにより、新たなビジネスが生み出されることが期待されます。当業界といたしましても、重要な社会的使命として認識し、総力を挙げて挑んでまいります。

 具体的な取り組みといたしましては、本年2月、当協会内に会員8社をメンバーとし、学識経験者にもオブザーバー参加いただいて、「カーボンニュートラル推進委員会」およびその下部組織である「革新的技術開発ワーキンググループ」を設置し、当業界としての取り組みの検討を開始いたしました。今後の活動を通じ、カーボンニュートラルの実現に不可欠となる非鉄金属資源の安定供給の確保、非鉄金属の特性であるリサイクルの拡大や新技術の開発、地熱等再生可能エネルギーの開発等への取り組みを強化していく考えです。

 

 このように我々を取り巻く環境は大きなチャレンジに直面しておりますが、当協会といたしましては、非鉄金属素材の安定供給を通じた豊かな社会の構築と、持続可能な循環型社会の構築という社会的使命を果たしながら、わが国の発展に貢献するべく、2021年度は引き続き、以下の課題を中心に取り組んでまいりたいと考えております。

 

 第一の課題は「資源の安定確保」です。

 非鉄金属素材は国内の幅広い産業にとって必要不可欠なものとなっており、IoTや5Gの普及に伴って次世代製品への用途拡大が進む中、わが国の持続的な経済発展と豊かで質の高い社会の実現のために、資源の安定確保と製品の安定供給が当業界の社会的使命と認識しております。

 近年はインドネシアに代表される資源ナショナリズムの高まりや、国際的な資源獲得競争の激化に加え、鉱山開発がより内陸部へ、より標高の高い場所へと移ることで開発に要するコストと時間が増大し、鉱石の低品位化によって鉱山の収益性が悪化するなど、当業界を取り巻く環境は一層厳しさを増しています。

 さらに、昨今のコロナ禍を通じて、重要資源・物資の海外依存によるリスクや国内供給に関する課題が顕在化したことにより、産業活動の基盤を支える非鉄金属素材についても、リサイクルを含めてその安定供給を確保することはナショナルセキュリティ上の重要な課題であることが、改めて認識されました。さらに今後カーボンニュートラルへの取り組みが加速していくことに伴い、非鉄金属素材の中長期的な需要拡大が見込まれることから、安定確保の重要性がますます高まっております。

 このような環境のもとにおいて、わが国の安定的な資源確保に向けて長期的な視点に立ち、積極的な海外資源開発が継続できるよう、引き続き独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、国際協力銀行(JBIC)、日本貿易保険(NEXI)等の政府系機関の機能強化・拡充など、一層の支援強化を要請してまいりたいと考えております。

 特に重要な施策としましては、「鉱業関係税制の維持、拡充」が挙げられます。2022年3月末には、減耗控除制度、海外投資等損失準備金制度の鉱業2税制が同時に租税特別措置法上の適用期限を迎えます。近年政府から同法に基づく措置は原則廃止との方針が打ち出されているものの、これらの支援制度は長期的、かつ継続的な資源開発に必要不可欠なものであることから、当業界にとって使用しやすく、効果のある総合的な鉱物資源確保支援につながるよう、取り組んでいきたいと考えております。

 また、現在、経済産業省にて第六次エネルギー基本計画策定の検討が行われており、当業界として資源・燃料分科会などを通じて政策形成の議論に加わり、資源の安定確保に向けての課題に取り組んでいきたいと考えております。

 さらに、資源外交についても、当業界として積極的に協力してまいります。

 

 第二の課題は「電力問題」です。

 当業界は省エネルギー活動の推進に不断の努力を重ねておりますが、安全性確保が大前提となる原子力発電所の再稼働は停滞し、FIT制度(再生可能エネルギー固定価格買取り制度)における賦課金の上昇等により電力料金が高止まりを続けていることもあって、現在同制度から新制度への移行に向けた準備が行われております。当業界が国際競争力を高め、わが国のものづくりの基盤である非鉄金属素材の安定供給や、循環型社会の構築といった当業界の社会的使命を果たしていく上において、国際的に遜色のない価格水準での安定的な電力供給は極めて重要です。このために安全規制基準に適合した原子力発電所の早期再稼働や、FIT賦課金の減免措置の維持・拡大、省エネ補助施策の継続などを通じ、電気料金の影響緩和と安定的な電力供給のための諸施策をお願いしてまいりたいと存じます。

 

 第三の課題は「リサイクルによる持続的な循環型社会の構築」です。

 当業界は長年にわたり産業廃棄物の無害化および非鉄金属のリサイクルに取り組み、近年は取扱品目の拡大を図りながら、持続的な循環型社会推進の担い手として、社会に多大な貢献をしています。

 カーボンニュートラルの観点からも、リサイクルへの期待が高まっており、持続的な循環型社会の担い手として、当業界の果たすべき社会的責任はますます重要になります。今後も国や自治体と連携し、日本国内における銅製錬、鉛製錬、亜鉛製錬から成る再資源化ネットワークの維持・拡大、より適正なリサイクルシステムの整備・構築に、これまで以上に取り組んでいきたいと考えております。

 また、国際的にも、わが国が有する安全かつ効率的な有価金属の回収技術や高度な環境保全技術は重要な役割を果たしております。これらの技術に基づいた資源有効利用や環境汚染拡散防止を目的とする国際資源循環ネットワークの構築に向け、政府・関係機関をはじめ関係団体や業界各社の協力を得ながら取り組んでまいります。

 

 第四の課題は「人材確保と育成の強化」です。

 当業界が大きく環境変化する市場で当業界が持続的な発展を遂げるためには、継続的な生産コストの引き下げや、時代の変化に対応できる製錬技術、環境保全・公害防止技術の開発、リサイクル技術、高度な新材料技術などの開発を積極的に進める必要があり、資源開発、製錬分野における持続的な発展を遂げるためには、人材の確保と育成が喫緊の重要課題となっています。

 近年は一般財団法人国際資源開発研修センターを通じた人材育成事業の拡充、経団連・経済広報センター「企業人派遣講座」への講師派遣、科学技術館での常設展示など、当業界が豊かな社会づくりに不可欠な素材・技術の提供や、循環型社会の構築に大きな役割を果たしている産業であることを認識してもらえるよう産学官連携により取り組んでまいりました。次世代を担う人材確保と育成のために国や関係機関による支援も要請し、引き続き努力してまいりたいと考えております。

 

 わが国の非鉄金属業界は、以上のようにさまざまな課題を抱えており、依然として厳しい経営環境下に置かれております。このような状況の中で、当業界を取り巻く各種環境規制への対応や、近年激甚化する自然災害への備え、さらには、カーボンニュートラルの実現、SDGs、ESGといった企業行動に求められる目標に対しての取り組みを一層強化していく必要があります。当業界が社会的使命を果たし、持続的な発展を遂げていくことができるよう、当協会として業界各社による技術革新・コスト改善などの自助努力を促進しつつ、国による各種支援の継続・拡充をお願いしてまいりたいと思います。

 

 このほか、環境、施設・設備や労働に関する安全対策の推進・充実、鉛・亜鉛等の特性を活かした新たな需要分野の開拓、スラグ等副産品の用途拡大等について引き続き取り組んでまいります。

 

 これから1年間、会員各社のご理解とご協力をいただいて、これらの諸問題に全力をあげて取り組んでまいる所存ですので、関係各位のご指導とご支援を重ねてお願い申し上げて、私の就任のご挨拶とさせていただきます。

                                                以上

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